男女雇用機会均等法が改正されセクハラ防止義務が盛り込まれたころ、日本のマスメディアでは大げさにセクハラ問題を取り上げていました。それは一時期非常に過度に報道され、それこそ女性が不快だとさえ言えば何でもセクハラになってしまうのだという論調さえみられました。
このような状況に便乗して、取るに足らないことをセクハラと騒いだり、管理者がそのような女性をバックアップ?して対立する部下の男性を陥れようとするケースも出てきました。いわば魔女狩り的現象です。パワハラやリストラにこのようなことが利用されることも少なくありません。
このように狼少年のような人たちがいると、周囲はいい迷惑ですし、真のセクハラの被害者が大変な迷惑をします。
では、女性がセクハラを訴えた場合、不快だとさえ言えば何でもセクハラと認定されてしまうのでしょうか?この点については日本ではまだ議論が成熟していないので、アメリカの文献を参考に説明します。
①決裂した社内恋愛:社内恋愛で決裂した元カップルの一方が、別れた相手を他の同僚に向けて非難するケースです。言っているほうは相手を非難することで自己を相対的に正当化し、自分が相手の被害者であるように印象づけようとします。この場合、モラルの低い管理者はそのような中傷に同調してしまうようです。しかし、このような男女間のプライベートな問題から派生していることを職場での非難に転化するのは、発言している側がセクハラになります。
②許容しているコミュニケーション:普段、仲のよさそうな男女が猥談を言い合っていたのに、一方があとからセクハラだと言い出すケースです。
女性が本当は不快に感じていたのに我慢して相手に合わせている場合もありますし、以前は仲がよかったけれど仕事上の利害問題が生じて、突然女性の方があれはセクハラだったと言い出す場合もあります。
もし不快に感じている場合は、本当は嫌だと感じていることを何らかの形で意思表示するべきでしょう。また、管理者はこのような状況を見たら放置せず、職場に与える様々な影響を考えて普段から注意しておくべきです。それを怠り、今まで当人が冗談として認識していたものを、突然セクハラとして断罪すると問題がおきます。
一方、普段から注意をしていたにも関わらず当人が中止しない場合は、仮に冗談で言っているにせよ、職場に性的な言動で不快感をもたらしたと言えますから、猥談を言い合っている双方がセクハラになりえます。
③相手による差別:よく好意のある男性に軽いタッチをされても不快ではないからセクハラにならないけど、あまり好きでない男性からのタッチはセクハラになるという説があります。しかし、それはプライベートで表現すべき問題であって、オフィスでそれを認めてしまうと何がセクハラになるかという点において大変紛らわしくなり職場の空気も悪くなります。また、このような差別を露骨に表現すること自体がセクハラであると考えられます。
したがって、ひとつの職場において「AさんがするのはOK」でも「Bさんがするのはセクハラ」といった矛盾するメッセージを発することは認められるべきではありません。管理者はそのような状況を許してはいけません。Bさんがやったらセクハラといわれる行為は、Aさんやほかの人がやった場合でも同じように禁止するべきです。
④視線と服装:最近、下着が見えそうな短いスカートをはいた女子高生が、スカートのうしろを押えながら駅の階段を上がる姿がよく見られます。階段の下を歩いている男性には内心しめしめと思う人もいるでしょうが、しかし、自分の目の前の女性におおげさにスカートを押さえられ、のぞき犯扱いされたような気がして、困惑する男性も少なくないでしょう。
さて、職場において、女性が不快に感じているのに、必要以上に女性の胸などをじろじろみるような行為はセクハラと言えます。しかしながら、職場に相応しくない、露出の高い服装の女性がセクハラを訴えたとき、駅の階段の例と同じような問題がおきます。セクハラと言える場合もあるでしょうし、女性が自意識過剰で、実は男性側が困惑していたという場合も考えられます。ですから、管理者は、そういう服装の女性がいたら、普段から注意しておく必要があります。女性が職場に相応しい服装をしているのに、男性が女性の胸ばかり見つづけるような場合は立派なセクハラと言えます。
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