A.警告の申し出があったときで、危害防止に緊急を有する場合に、聴聞手続きを経ないで警察署長等から出されるものです。
ストーカーの被害者から警告の申し出があった場合で、その被害の状況が次の3つの要件を充たすときには、警察署長等は「仮の禁止命令」を出すことができます。
①被害者が、その「つきまとい等」の行為により、現に身体の安全、住居等の平穏、名誉が害され、または行動の自由が著しく害されている場合
②被害者に対して、その行為をさらに反復して行う恐れがあると認められる場合
③被害者の身体の安全、住居等の平穏、名誉が害され、または行動の自由が著しく害されることを防止するために緊急の必要があると認めた場合
このように、「つきまとい等」の行為が悪質化したり、どんどんエスカレートしていたりして、これをすぐにやめさせないと被害者に著しい被害が及ぶ可能性があって、「警告」を出していたのではとても間に合わなそうだという場合に、この「仮の禁止命令」が出されることになるのです。
仮の禁止命令は、聴聞手続きをとっていないために、期限付きのものであるとされ、その効果は最大15日間であるとされています。
都道府県公安委員会は、この期間内に加害者からの意見聴取をし、この「仮の禁止命令」が妥当であったかを審査することになります。
そして、審査の結果「仮の禁止命令」が不当でなかったと認められれば、公安委員会は「禁止命令」を出し(この場合「仮の禁止命令」は失効する)、不当だということになれば「仮の禁止命令」をただちに失効させることになります。