身近な法律トラブルQ &A

婚約破棄

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1:婚約の成立要件は?

婚約の要件には、二人の合意が必要です。二人の合意とは「結婚しよう」という申し入れに対して「わかりました」という承諾があり、二人の意思が合致していることです。親に強制されても本人同士が合意しないかぎり婚約は有効に成立しません。また、二人の合意があれば、第三者への公表や結納がないと婚約にならないということもありません。

未成年の婚姻には、父母の同意が婚姻に必要になりますから、未成年が婚約するときもこの要件が必要になります。

なお、既婚者が離婚を条件に妻以外の女性と婚約をすることは公序良俗に反しますから(民法第90条)無効な婚約となります。

 

2:婚約は二人の口約束だけでも成立する?

――婚約破棄されてしまいましたが、二人だけの間の口約束は有効な婚約と言えますか!?――

よくある相談ですが、婚約は二人の合意があれば成立します。判例でも、結納の取り交わしやその他の慣例上の儀式を挙げていなくても、男女が誠心誠意をもって将来に夫婦たるべき予期の下に約束すれば婚約であるとしています。したがって、二人の間だけでの口約束でも、誠心誠意をもって将来を約束し合ったといえる場合は有効な婚約といえますから、不当に婚約破棄・解消されたら慰謝料、損害賠償の請求ができます。

 

3:ベッドでした婚約は有効か?

――太郎は会社のA子にねだられて飲みに行ったところ、酔っ払ってそのまま二人でホテルに入った。いざことをはじめようとするとA子が「私と結婚してくれる?」と甘えた声で言うので、勢いのとまらない太郎は「結婚する」といってA子を押し倒した。

その後、A子と交際しなかったところ、A子から婚約不履行だといって慰謝料を請求された!?――

このような約束が有効な婚約といえるかどうかですが、日本の裁判所では、婚約は男女がまじめに将来を約束した確定的な合意をいうとされています。太郎とA子の約束は酔った勢いでベッドの上で口走ったもので、誠心誠意将来を近いあった合意であるとは考えられません。したがって、有効な婚約とは考えられませんからA子が太郎に婚約不履行にもとづいて慰謝料を請求しても裁判で勝つことは難しいといえるでしょう。

もっとも、太郎もA子にあらぬ噂を会社で流されても困りますから、一定の手切れ金をA子に渡すということもありえます。

 

4:親同士が決めた婚約は有効か?

昔は「いいなずけ」といって親同士が双方の子供の結婚を約束することがありましたが、現在では婚約は本人同士の合意が必要です。旧民法では婚姻は、男子は満30才、女性は満25才まで父母の同意が必要とされていました。しかし、新憲法第24条では、「婚姻は両性の合意にもとづいて成立する」という原則を示しています。 したがって、本人同士の合意のない親だけが取り決めた婚約は無効と考えられます。

しかし、親同士が決めたいいなずけでも、しぶしぶながらも本人同士が同意している場合は、それは有効な婚約になります。その場合は一方的に婚約破棄すれば婚約不履行にもとづく慰謝料を払わなければならないことになるでしょう。

 

5:婚約の証明は?

二人が精神誠意をもって将来を約束した場合は有効な婚約となりますが、では、婚約破棄されたとき、婚約の事実の証明はどうすればよいでしょうか。

ひとつは、結納の取り交わしの際の受取書が婚約の合意の証拠となります。また、仲人も第三者として婚約の合意を証明する有力な証人となります。

結納の交換もなく、仲人も決まっていなかった場合はどうでしょうか。その場合は、共通の知人の証言やメールや手紙、指輪などを積み重ねて証明していく必要があります。

 

6:同棲や肉体関係は婚約の証拠になる?

――高校卒業から3年間も彼と同棲しているので、口には出さないがそのまま結婚できると信じていた。それなのに最近彼が別の女性をつくって別れたいといってきた。婚約破棄を理由に慰謝料を請求できるか?

同棲や肉体関係があるからといって二人の確たる将来の結婚についての合意がなければ婚約があったとは認められません。ですから、肉体関係があったとか、同棲していただけの理由で慰謝料を請求することはできません。また、同棲や長期の肉体関係を婚約の証拠だといっても認められません。

ただ、同棲を一方的に解消されそうになっている場合は、転居費用くらい要求してはどうでしょうか。彼も二人で住んでいる限り同棲は解消でいないわけですから手切れ金と思って払う可能性はあります。

 

7:婚約破棄の正当な理由とは!?

不当な一方的な婚約解消、破棄は慰謝料、損害賠償を請求されますが、正当な理由がある場合は損害賠償をする必要はありません。では、婚約破棄・解消の正当な理由としてはどのようなものがあげられるでしょうか。法律に明文はありませんが、判例や学説では次のようなことをあげています。

1、お互いの合意による婚約解消

2、相手が生活上重大なことについて嘘をついていた場合。すなわち、学歴、職業、地位の詐称、または、前科や消費者金融からの多額の借金を隠していたなど。

3、精神病や性病の持病などがある場合。

4、婚約後に不貞、暴力、侮辱などの行為があり不誠実で将来を期待できないとき。

5、交通事故などにより性的不能や盲目になった場合。

 

8:相手に妻子がいた!婚約破棄・解消の正当な理由になる?

男が妻子がいることを隠し独身だと偽りあなたと婚約した場合、婚約は公序良俗に反して無効です。ですから、婚約解消しても正当な理由になります。そればかりでなく騙されたあなたは相手の男に対して精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。

 

9:慰謝料を請求できるとき

こちらの方に不貞や暴力などの破棄される理由がなく、相手が一方的に婚約破棄・解消を言ってきた場合は、相手に対して、婚約不履行を理由として慰謝料、損害賠償の請求を行うことができます。なんとなく気がすすまないとか、急にいやになったといった理由は正当な理由にはなりません。

 

10:慰謝料の相場は?

婚約破棄の慰謝料に法的な算定基準はなく、ケースバイケースで個々の事情に照らして決められます。判例では、数十万から400万円以上までさまざまです。一般的なところでは100万円から200万円あたりが多いでしょう。当事務所で作成する示談書でもそのあたりで落ち着くことが多いです。交際期間が長かったり、世間に公表していたり、あるいは女性が職場を退職していたりといった事情があると、200万円を超える慰謝料になる可能性が高くなります。

 

11:損害賠償として請求できるものは何か

婚約破棄の損害賠償として請求できるものは、式場などの準備費用、仲人の謝礼、家具や住居の準備にかかった費用などの実損のほか、いわゆる「得べかりし利益」も請求できます。得べかりし利益とは、たとえば、結婚のために会社を退職した場合、退職しなかったら得られたであろう利益のことです。このほかに、精神的苦痛に対する慰謝料も請求できます。

 

12:会社の不倫中の彼に婚約破棄された!?

妻と別れて君と結婚する……社内不倫でよくある話ですが、奥さんと離婚して自分と結婚すると言った場合、不当な婚約破棄・不履行として彼に慰謝料請求・損害賠償請求できるでしょうか……?

結婚している相手との婚約は公序良俗に反する契約ですので無効な契約と考えられます。(民法第90条)したがって、婚約を守らなかったとしても損害賠償責任は生じませんので彼に慰謝料を請求することは理論上はできません。過去の判例でも妻子ある男との婚約を有効なものとは認めていません。逆に奥さんから不貞行為に加担したことを理由に慰謝料請求されるおそれがあります。

もっとも、示談書を作成して、手切れ金を払う代わりに奥さんや会社にばらさないという取り決めをする人もいます。

いずれにせよ、男女ともに、できるだけ後腐れなく別れる方法を行政書士などに相談したほうがいいでしょう。このような男女が別れたあとのトラブル防止のために念書や示談書を作成しておくことは多々あります。

 

13:婚約中に浮気されたら!?

まず、婚約者の浮気を理由に婚約破棄できるかどうかですが、婚約破棄・解消の正当な理由として認められます。この場合、婚約破棄したとしても慰謝料を払う必要は当然なく、逆に浮気をした婚約者に対して慰謝料その他の損害賠償が請求できます。

また、婚約者の浮気相手が婚約の事実を知りながら婚約者と肉体関係を持った場合は、その相手にも慰謝料請求ができます。ただし、その相手が肉体関係についてシラを切ることもありますので、その場合はこちらで肉体関係を立証する必要があります。

 

14:学費の面倒を見たのに婚約破棄された!

――学生の彼が音楽学校の学費がいるというので働いている私が学費の面倒を見てあげたが、卒業したら婚約を解消したいと言われた!?――

結婚詐欺だといいたくなりますが、彼が計画的にやっていたかどうかをつきとめるのもそれを立証するのもなかなか大変でしょう。では、このようなときは泣き寝入りするしかないでしょうか。

このような場合は、たとえ詐欺罪を立証できなくても、婚約不履行にもとづいて少なくとも学費相当分の慰謝料は請求できます。

 

15:婚約解消したいが彼女が妊娠している!

困ったケースですが、よくあるお話です。女性の側が産むと言い張っている場合は、男の側はもうどうしようもありません。この場合、どうなるでしょうか?

女性が子供を出産すると父親を確定するためにあなたに対して認知の請求をしてくるでしょう。あなたが拒めば認知請求訴訟をしてくるかもしれません。裁判で認知が認められれば戸籍に父親として記載されます。これは女性の側の戸籍もあなたの戸籍にも載ります。そうすると養育費を支払う義務も生じますし、ほかの女性と結婚するときにも戸籍からその事情がばれることになります。

男性が手切れ金を払う代わりに女性から認知請求も養育費も請求しないという約束をするケースもありますが、このような契約は実は無効で、たとえ母親がしなくても子供が成人してから子供から認知裁判をおこされる可能性があります。

「できちゃった婚」などという低俗な言葉が流行っていますが、避妊を軽く考えるとこのようにとんでもないことになります。たとえ中絶するにしても子供の生命を親の意思で絶つことにほかなりませんから避妊を軽く考えないで頂きたいものです。

 

16:急に結婚を渋りだした相手に結婚を強制できるか

――彼が婚約破棄するといっているがどうしても別れたくない!裁判で強制的に結婚させることはできますか!?――

日本では、結婚は両性の合意にもとづくことを建て前としています。(憲法第24条)婚約は合意であってもあとから結婚の意思がなくなったのでは二人の合意があるとは言えません。したがって、裁判で婚約の履行を強制することはできません。しかし、婚約破棄してきた相手に対し、婚約不履行にもとづく慰謝料・損害賠償の請求はできます。

 

17:結納をしていないと正式な婚約をしたことにならないのか!?

――3年間交際した男性と結婚の約束をしていたが、最近急に結婚をやめたいと言ってきた。そのとき、結納の取り交わしをしていないので正式な婚約ではなく慰謝料を支払う必要はないと言われた。結納を取り交わしていないと婚約不履行の慰謝料を請求できないのでしょうか?――

日本では慣習的に婚約にあたって結納の取り交わしが行われますが、これは慣習のお話であって法律上の婚約の要件ではありません。法律上は、二人が真面目に結婚を考えてその合意があったならば婚約は成立します。結納は婚約をしたことの証にはなりますが、結納がないからといって婚約が成立しないということはありません。

したがって、結納がなくても二人が真面目に結婚を合意していたのであれば、婚約を一方的に破棄・解消した彼に対してあなたは不履行を理由に慰謝料を請求できます。

 

18:婚約破棄・解消したら結納金はどうする?

婚約を解消すると結納金を返すかどうかでもめることがあります。結納金を返すべきかどうかは婚約解消の理由などによって異なります。

①お互いが話し合ったすえの合意による解消は結納金を返還しなければなりません。

②結納を交付した方に婚約解消の責任がある場合、あるいは、結納を交付した方が正当な理由のない一方的な婚約破棄をした場合、結納を受け取っているほうは結納を返還する必要はありません。

③結納を受け取った側の責任で婚約解消された場合、結納を受け取った側が正当な理由なく一方的に婚約解消する場合は結納は返還しなければなりません。

④結婚の約束をして同棲をはじめたが婚約解消した場合は、いわば内縁関係であり事実婚ですから、結納は返還義務がありません。

⑤いわゆる成田離婚のように結婚届は出したものの実質的な結婚生活がない場合は、実質上、結婚不成立となりますので結納は返還しなければなりません。

 

19:結納詐欺

はじめから結婚するつもりはないのに結納金目当てで婚約する詐欺です。結納金をもらってすぐ婚約破棄すると結納金を返還する義務が生じますので、一定期間、同棲したあとでドロンします。婚約後に同棲するといわゆる内縁関係になりますから法的には結納金を返す義務はなくなります。この場合ですと、詐欺罪を立証するのも困難ですし、婚約不履行で損害賠償請求するのもむずかしいと言えます。プロの知能犯です。

 

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