内容証明郵便

41:交通事故

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Q.交通事故の被害者が加害者に対して請求できる損害賠償は、どのような損害に対するものですか。

A.積極損害と消極損害があります。

自動車の運転手が運転を誤って人身事故を起こすと、刑法上では業務上過失致傷(致死)罪になりますが、民法上の不法行為にもあたり、加害者は被害者に損害賠償を支払う義務を負います。
それでは、どのような損害に対して賠償が支払われるのかといいますと、これには積極損害と消極損害の二種類があります。
まず積極損害とは、事故のために支出せざるを得なくなったお金で、治療費や入院雑費、通院交通費などがあります。
次に、消極損害とは、事故がなければ被害者が取得できたはずのお金です。
たとえば、負傷のために働くことができなくなったことによる減収(休業損害)、後遺症のために健康だった頃と比べて十分に働くことができなくなった場合に生じた損害(逸失利益)、精神的な苦痛という損害(慰謝料)などがあります。

 

Q.交通事故の損害賠償額は、どのぐらいになりますか。

A.状況によって大きく異なります。

交通事故の損害に対する賠償額は、上に述べたようなさまざまな損害に対する賠償が複合的に関わりあって決まるものなので、一概にいくらくらいと述べることはできません。
損害賠償を請求する場合には、法律の専門家に相談することが必要でしょう。

 

Q.交通事故の損害賠償は、加害者のみでなく車の所有者に対しても請求できるのですか。

A.被害者は車の所有者に対しても損害賠償請求できます。

交通事故の加害者は、不法行為に基づく損害賠償責任を負います。
そして、人身事故であった場合には、加害者である運転者だけではなく、車の所有者も賠償責任を負うことになります。
これは、車の所有者は自動車損害賠償保障法上の「運転供用者」にあたるとされていることによります。
よって、交通事故の被害者は、車の運転者だけでなくその車の所有者に対しても損害賠償請求をすることができるものとされています。

 

Q.会社の従業員が、勤務中に自動車事故の加害者となった場合には、被害者はその会社に対しても損害賠償請求をすることができますか。

A.被害者は会社に対しても損害賠償請求をすることができます。

自動車事故の加害者が会社の従業員で、さらにその従業員が勤務中に交通事故を起こしたような場合には、その従業員の使用者である会社自身も損害賠償責任を負うことになります。
これは「使用者責任」と言って、使用者(会社)が従業員を使ってある事業を行わせて利益を得るのですから、その従業員が起こした損害の賠償も会社が負うのが公平であるとする考え方に基づいています。
よって、被害者は加害者である会社の従業員だけでなく、その従業員の会社に対しても損害賠償請求をすることができます。
なお、その従業員が勤務中であったか否かは、「外形」で決められるとするのが判例です。
つまり、具体的に勤務中とは言えなくても、昼休みに会社の車を使ってどこかに行く途中で事故を起こしたような場合には、勤務中であったと判断される可能性が高いということです。
ただ、使用者が従業員を十分監督していたにも関らず、従業員がこれに従わずにいたために事故を起こしたような場合など、使用者の監督者としての注意義務に抜かりがなかったような場合には、使用者は責任を負わないことがあります。

 

Q.交通事故の示談後に、事故による後遺症あることがわかりました。後遺症に対する損害賠償をも請求できますか。

A.後遺症に対する損害賠償も請求できます。

交通事故の損害賠償について加害者と和解し、紛争を解決をして、示談書に「今後一切追加の請求はしないこと」と書く場合があります。
しかし、示談後に、後遺症が発覚し、示談の際に定めた損害賠償額では足りないという状況になったときには、示談書の効力自体が問題になってきます。
それは、示談をした段階では後遺症がないものとして合意をしたのに、実際には後遺症があったということになるとその合意自体の効力が疑問になるからです。
また、示談後の後遺症に対する損害賠償は、示談の対称となった損害とは別の損害に対するものであるということも考えられます。
そこで、示談後の後遺症についての損害賠償についても、加害者には賠償責任があります。
加害者に対して後遺症が当該事故から来ていることを明記し、その損害賠償を支払うように内容証明郵便で請求するのがいいでしょう。
その場合には、まずは話し合いを求める書面を送るのが適当です。

 

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