内容証明郵便

9:契約の解除

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Q.契約の解除とはどういうことですか。

A.一方からの意思表示で、契約を始めからなかったことにすることです。

契約解除とは、債務不履行などの法定事由(法律で定めた理由)があった場合か、契約で定める事由があった場合に、一方から他方に対して意思表示をすることで、契約を始めからなかったことにすることです。
契約が解除されると、原状回復の義務が双方の当事者に生じるため、すでに支払った金銭や品物は返してもらうよう請求することができます。

Q.法定事由の一つである債務不履行とは?

A.債務不履行には、履行遅滞、履行不能、不完全履行の三種類があります。

契約を締結すると、双方の当事者には相手に対して特定の行為をしなければならないという義務である「債務」が生じます。
たとえば、売買契約では、売主には品物を相手に引き渡す債務が、買主には売主に金銭を支払う債務が存在することになります。
ここで債務不履行とは、文字通り、当事者が契約に基づく債務を行わないことですが、より厳密に言えば、①債務の履行が遅れている(期限内になされない)という「履行遅滞」、②なんらかの理由で履行が不可能になってしまったという「履行不能」、③履行はなされたが不完全であるという「不完全履行」の3つが債務不履行にあたることになります。

Q.債務不履行があればすぐに契約解除ができるの?

A.すぐに契約解除できる場合と、催告が必要な場合とがあります。

債務不履行が生じても、 履行遅滞や不完全履行の場合には、原則としてすぐに契約解除ができるわけではなく、相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がない場合に初めて解除の意思表示をするという段階を踏む必要があります。
一方で、履行不能の場合や不完全履行のうち完全な履行が不可能であるというときには、もはや履行の請求をしてもできないことは明らかなのですから、催告をすることなく解除をすることができます。

Q.履行不能とは、物理的に履行が不可能である場合に限られるの?

A.履行不能か否かは社会通念に従って判断されます。

「履行不能」であるかどうかは、社会通念にしたがって判断されるため、物理的に履行が不可能である場合のみに限られません。
ですから、引き渡すべき目的物が滅失したときはもちろんのこと、目的物の取引が法律によって禁止されたときや、不動産が第三者に二重譲渡されて登記を経由したとき、また演奏の債務を履行すべき会場が火災で焼失したときなども、履行不能と判断されます。
また、結婚式の引き出物などは結婚式当日に間に合わなければ全く意味をなさないので、その日までに履行できないことも、履行不能と判断されます。

Q.契約解除をしても、損害賠償の請求はできる?

A.請求できます。

契約解除をすると、契約が始めからなかったことになってしまうので、その契約に基づく損害賠償が請求できるのか疑問に思うかもしれませんが、契約解除をした場合でも、損害賠償の請求をすることはできます。
ですから、ある契約に基づいて相手の責任により損害をこうむった場合には、その賠償を請求しましょう。

Q.売買契約に基づいて、先に目的物を引き渡したのに、買主がその後なかなか代金を払ってくれないという場合、どのような手段をとることが考えられますか。

A.代金請求をし、相当期間に支払われない場合には契約解除をする旨の書面を送るという方法があります。

質問のような場合において、相手に何度口頭で代金を請求しても一向に支払ってくれないような場合には、相手に書面で代金請求をするとともに、相当期間内に代金が支払われない場合には、契約を解除する旨を主張するという方法が考えられます。
売買契約をした場合、売主には買主に対して目的物を引き渡すという債務が、買主には商品の代金を支払うという債務が発生します。
これらの債務が同時になされれば問題にならないのですが、契約によっては、先に商品を引き渡し、あとから代金を払うという形式にすることがあります。
このようなときには、買主には代金を支払う義務があるので、これを行わない場合には、債務の履行が遅れたという意味(履行遅滞)での「債務不履行」となり、売主はこの債務不履行を理由として契約を解除することができることになります。
ただし、この場合、債務の履行が遅れているだけで、買主は代金を支払える可能性がありますから、売主はまず相当の期間を定めた上で相手に履行(代金の支払い)を催促することが必要です。
催促したのに履行がない場合に、初めて解除の意思表示をすることができることになります。

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