内容証明郵便

32:借家人の疑問

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Q.敷金とは、何のための費用なの?

A.賃貸借契約の終了時に借家人が負担すべき費用を充当するための費用です。

敷金とは、賃貸借契約の終了時に借家人が負担すべき費用を充当するための費用を、賃貸借を開始した時点で支払っておくものです。
借家人が負担すべき費用とは、たとえば、借家人が住んでいる途中に部屋のつくりなどを変えた場合に借りた時点のように元に戻すための費用(原状回復義務)や、借家人の責任で壊したものがあればそれを修理するための費用、滞納家賃などです。
こうした費用について、家主はあとから費用を請求しなくても、借り入れていた敷金をその費用に充当することができるものとされています。
ただし、敷金のうち充当すべき費用や滞納家賃などを除いて残ったものは、借家人に直ちに返還すべきものとされています。

 

Q.借家人は、いつから家主に対して敷金の返還請求ができるの?

A.借家人が建物を引き渡した時期からです。

敷金の返還請求権は、借家人が建物を明け渡した時期に発生します。
ですから、建物からまだ立ち退かない段階で敷金を請求することはできません。

 

Q.建物を明け渡してからかなり経つのに、まだ敷金が返ってきませんがどうしたらいいですか。

A.内容証明郵便で催促する方法があります。

敷金は必要な費用や滞納家賃を除いた分はすべて借家人に返還する必要がありますので、敷金が返還されない場合には、返還を請求する権利があります。
まずは、内容証明郵便を使って催促するのが適切でしょう。
その際には、契約が終了となった日付ときれいに使っていたことなどを内容として盛り込むことになります。

 

Q.返還された敷金が思っていたよりもずっと少ないのですが、どうしたらいいでしょうか。

A.敷金のうち、何についてどのぐらい差し引かれたのかを確認したい旨の内容証明郵便を送るという方法があります。

敷金が返還されたものの、返還されえたものが思っていたよりもずっと少なく、納得できないという場合があります。
滞納家賃もなく、部屋を注意深くきれいに使っていた場合はなおさらです。
敷金のうち、何につきどのぐらいの費用がかかったのかを確認したくなるのも当然でしょう。

 

Q.借りた家に欠陥があって、雨漏りがします。家主に直すように請求できますか。

A.借家人は、家主に対して家の不良箇所を修繕するように請求することができます。

賃貸借契約に於いて、家主には、目的物(ここでは家)を使用・収益に適する状態にしておかなければならないという義務を負っています。
つまり、借家人は家を使用させてもらうことについて家賃を払う義務を負っている一方で、家主は借家人が使用するために家を適切な状態にしておく義務を負っているのです。
ですから、借家人の責任ではないのに、借りた家に不良箇所があった場合には、借家人は家主に対してその修繕を要求することができます。
雨漏りがある借家では、明らかに借家人の使用・収益に支障がありますから、家主はこれを治す義務があります。
ただし、修繕費用は家主が負担しないという賃貸借契約を結んでいる場合には、修繕を請求することはできません。

 

Q.家の不良箇所を自費で直しました。家主に対して、かかった費用を請求できますか。

A.家主に対して修繕費用を請求できます。

上で述べたように、借家人には、家の不良箇所の修繕を請求することができますが、借家人が修繕を自費で行った場合には、かかった費用を家主に請求することができます。
借家人は、家主が負担すべき必要費を支出した場合には、その償還を請求することができるものとされているからです。
ここでいう「必要費」とは建物の修繕費や固定資産税などの建物の維持・保存・管理に通常必要な費用のことを言います。
口頭で家主に請求をしてもなかなか支払ってくれないような場合には、内容証明郵便で請求するのが効果的でしょう。

 

Q.賃貸借契約の期間が満了したら、契約の更新は家主の任意によるのですか。

A.家主は、正当な利用がない限り更新の拒絶をすることができません。

借地借家は、建物の賃貸借契約は、更新することを原則としています。
期間の定めのある賃貸借契約の場合でも、賃貸人または賃借人が、期間の満了の一年前から半年前までの間に、相手に対して更新しない旨の通知または条件を変更しなければ更新しない旨の通知をしなかったときには、これまでの契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるのです。
そしてまた、家主は正当な事由がない限り更新の拒絶をすることができません。
「正当な事由」とは、たとえば家主自らがその建物を使用する必要がある場合などです。
契約の終了について家主と借家人の間で合意が成立しない場合には、最終的には裁判所に判断をゆだねることになります。
裁判所では、賃貸借契約を結んだ経緯や建物の利用状況などをもとに判断することになります。
また、家主から借家人に対して立退料の申し出がある場合には、その金額も考慮されることになります。

 

Q.「正当な事由」がないと思われるのに、家主から更新拒絶をされましたが、どうしたらいいですか。

A.内容証明郵便で、正当な事由がないことを指摘するのが妥当でしょう。

上で述べたように、賃貸借契約の終了には、家主が契約を更新できない正当な事由が必要になります。
よって、正当な事由がないと思われるのにも関らず更新拒絶がなされた場合には、正当な事由がないことを家主に伝える必要があります。
これを内容証明郵便で行えば、後に裁判等になった場合にも役立つことになります。
また、正当な事由がないという指摘だけではなく、自分がどうしてもその家に住み続けたい理由も内容に盛り込むのがよいでしょう。

 

Q.造作買取請求とは?

A.借家人が家主の同意を得て建物に造作を付加した場合に、契約が終了した際に、借家人から家主に対して造作の買取を請求することです。

借家人は、家主の同意があれば建物に畳・建具・エアコン・物干し場・水道設備などの造作を付加することができます。
そして、賃貸借契約が期間満了または解約申し入れによって終了するときには、借家人は家主に対して、これらの造作を買い取ってもらうよう請求することができるものとされています。
ただし、家主の同意を得て造作がなされた場合でも、借家人が造作買取請求を行わずに任意でこれを撤去することは可能です。
なお、造作買取請求を行使できるのは、契約が期間満了または解約申し入れによって終了するときになりますので、借家人の債務不履行によって賃貸借契約が解除された場合には、造作買取請求権は生じなくなりますので注意が必要です。

 

Q.造作買取請求権は、契約における特約によって排除できますか。

A.特約によって排除できます。

民法の造作買取請求に関する規定は、当事者間の特約によって排除することができます。
実際に、建物賃貸借契約においてが、造作買取請求を行使できない旨の条項が入れてあるものが多いようです。

 

Q.造作買取請求は、どのような形で行ったらいいですか。

A.一定の場合には、内容証明郵便によって行うのが妥当でしょう。

家主が契約の終了時にその場で任意に造作を買い取ってくれた場合には問題はありませんが、そうでない場合には、内容証明郵便によって請求を行うのが妥当な場合があります。
その場合には、対象となる造作が家主の同意を得たものであること、その同意の時期、契約終了の時期などを明記して請求するようにしましょう。

 

Q.造作買取請求における買取金額は何を基準にするのですか?

A.買取金額は、時価で決めます。

造作買取請求の場合、買取の金額は時価で決定することになります。
借家人が実際に造作を付与するのにかかった費用ではないので注意しましょう。

 

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