不倫・浮気(不貞行為)

どのようなものが不倫・不貞行為になるか

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不貞行為とは何か

よくある相談で、いっしょに食事をしている程度の写真や頻繁なメールのやりとりに対して慰謝料を請求できるかというものがあります。
不倫は法律では「不貞行為」と呼ばれますが、その意味は、簡単なデートや軽いキス程度のようなものなどまで広く含む場合と、狭く性交渉のみをさす場合とがあります。
日本の裁判所では不貞行為は「配偶者のあるものが自由意思で配偶者以外の異性と肉体関係を結ぶこと」と狭く解釈されており、肉体関係を立証しないと裁判では不貞行為があったとは認められません。つまり、異性と一緒に食事をしている写真や異性と世間話をしている程度のメールでは、裁判では慰謝料や離婚が認められる証拠として十分ではないということです。
ただし、離婚の原因になるかどうかという視点でいえば、肉体関係が立証できない場合でも、「婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたると判断されるほどの状況があれば、離婚は認められます。
では、妻がたとえば会社の同僚などに飲み会の帰り道で強姦されてしまった場合は不貞行為といえるでしょうか、そのことを理由に離婚できるでしょうか。この場合は妻の「自由な意思」による肉体関係ではありませんので不貞行為とは解釈されません。また、この妻には何ら落ち度はありません。ですから、夫からこれを理由に離婚したいと言ってもこの場合は認められません。

 

ホモやレズは不貞行為になるか!?

不貞行為は「配偶者以外の異性と肉体関係を結ぶこと」ですので、いわゆる同性愛は不貞行為にはなりません。では、妻や夫が同性愛のパートナーと浮気しているときに離婚は認められないでしょうか。

たしかに同性愛者との肉体関係は異性との肉体関係とは別個のものです。しかし、夫や妻が同性愛の恋人と頻繁に会って夫婦の信頼関係に亀裂が生じてしまった場合、異性と肉体関係があるとはいえなくとも、民法770条1項5号の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するものとして離婚請求は認められるでしょう。

 

戦前の不倫

戦後、刑法が改正されるまで日本では「姦通罪」がありました。すなわち、妻が夫以外の男性と性的関係をもつと妻は姦通罪で処罰されました。一方、夫の方は妾をもっても処罰されることはありません。非常に差別的な印象がありますが、戦前はやはり男尊女卑の時代だったということなのでしょう。ただ、一方でイエ制度の意識が強かった当時は、妻が他人の子供を産まないようにするという意味では一理あった法律ともいえるかもしれません。ちなみに、韓国などでは現在でも姦通罪があるようです。

現在では姦通罪は刑法から削除され姦通という言葉も古くなり、不倫、不貞行為などと言われるようになりました。現在の法律では不倫で刑事処罰を受けることはありませんが、民法上の不法行為にあたるものとして不倫をした配偶者および配偶者の不倫相手に対して慰謝料請求が認められ、また、夫婦間では貞操義務違反として離婚の原因になるとされています。

 

重婚的内縁関係

不倫というと一般に刹那主義的な色恋沙汰といったイメージがありますが、浮気ではなく結婚の意思をもって夫婦同然に生活している場合、すなわち、内縁関係になっている場合があります。すなわち、何らかの事情で前の夫もしくは妻と籍が抜けておらず形骸化した法律婚を残したまま別の相手と事実婚生活をしている場合です。

このようなものを「重婚的内縁関係」と呼びますが、内縁関係が成立していると認められれば単なる愛人の場合と異なり法律上の保護を受ける可能性が出てきます。たとえば、浮気をすれば法律婚のように不貞の責任を問われますし、遺族年金を受けられる場合もあります。また、内縁関係を解消する場合は、離婚に準じて財産分与も必要です。

 

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